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逃げ恥の星野源は満足レベルを落とした女性にとっては王子様だった

 本当はタラレバ娘の話をしたいのだが、その前に逃げるは恥だが役に立つの、星野源の話をしたい。あのドラマと星野源とゲス川谷絵音の人気っぷりをみるにつけ、もはや男性に顔を求めることができなくなほど、追い込まれてしまった女性たちというのがいるとしか考えられないわけだ。

 イケメンと交際してはみたいが、葵つかさ松本潤にされたように、電話一本で呼びつけられてのデリヘル嬢あつかいされたくはない。森田剛と交際するのはいいけれど、結婚してもらえないのも嫌ですと。

 顔面レベルを落とすけれど、恋人にしてもらって結婚もした方が、女としては幸せになれる。恋愛下手でトキメキをくれる男性ではない。しかし考え方を切り替えて自分のほうからムズキュンしてしまえば、それは恋のトキメキに似たものになってしまう。

 顔がイマイチで恋愛テクもないから、浮気したくてもできない。イケメンよりは安全だ。年収1千万を超えた大台ではないけれど、700~800万クラスだからデフレ不況の日本の現状を考えれば万々歳。

 顔面レベルを下げてしまえば、実は優良穴場物件の男性が沢山いました……。

 なんて感じで、現実的なことを考える女性が増えてきたのではないか? 正確には現実的にならざるをえないほど、女性が追い込まれてしまったというか。

 実はそのきざしは随分と前からあった。2003年ごろに私が注目してたブログがあった。当時は日記サイトと呼ばれていたが、ある淫乱女性が日記を書いていたのだ。

 年齢としてはおそらくアラフォーで30代の中盤。バブルオヤジとセックスし、それなりに贅沢したり貢がせたりもしていた風。ただ2003年ごろのデートでは、ランチしてからホテルに直行というコースがほとんどになっていた。

 オヤジ達が金銭的に苦しくなり、ディナーをおごる金がなくなったのだ。ランチどまりになったし、シティホテルもお泊りではなくデイユースで安上がりにすまされるようになった。

 なにより彼女は30代になってしまったし、さすがに若い頃のように貢がせるのは不可能だ。オヤジ達には金がないし、自分はオバさんになってしまった。

 そんな状況が透けて見えるブログで、そんな彼女は乱交パーティーに参加してキモチいいセックスとチヤホヤされることを満喫しつつ、エキサイトフレンズで結婚相手を探していた。

 なんだかSEやプログラマーとのデートばかりで、男性のチョイスがちょっと地味めだなあ……と当時は不思議に思っていたのだ。

 キラキラ女子アカのはしりみたいな女性だったから、外資系だのコンサルだの電通マンだのと派手系の男と恋愛してればよかったわけじゃん。そんな男たちとデートできなくても、いくらでも嘘つけばいいわけでもあるし。

 でもそうしなかったのは、彼女が打算的ではあるが聡明で現実が見えてたからではないか。ある意味では最先端というか。

 SEやプログラマーは、貧乏な連中もいるが高収入なのもいる。年収1千万は超えないが、700~800万はごろごろいる。そのへんの現実的なラインでの結婚を視野に入れてたのではないか。

 恋愛下手でセックスも下手だが、女に不自由してきたから性欲は旺盛。美食のセックスではないけど満足感はないが、とりあえず腹いっぱいにはなれる。恋愛下手だから浮気したくてもできない情けない男だが、しかし他の女に盗られることもなく、安全だ。

 それにセックスが上手い男は乱交パーティーや出会い系で探せば事足りる。

 年収700万のキモ顔はダメだけど、普通顔であればOK。そこまで水準は落としたのだから、せめて年下男は狙いたいわよね……性欲も旺盛だろうし。下手なセックスでは満足はできないけれど、満腹にはなれるのよ。

 そんな作戦で2003年に婚活してたから、逃げ恥の星野源を狙う2016年の女性とほぼ同じ感覚だったのである。実に13年も早い恋愛センス。最先端だったわけだ。13年後の2016年に、ようやく時代が彼女に追いついたのである。

 ただ星野源を狙うセンスは既に13年も前に普通にあったのだ。そんな恋愛と結婚をする女性も大勢いた。

 だけど恋愛コラムや恋愛本を書く女性ライターたちは、そんな女性を黙殺して存在しないことにしていた。本当に女性たちが幸せになりたいのなら、頭を切り替えて星野源みたいな男性と恋愛と結婚することを13年前から推奨すべきだったのに。

 だけど彼女たちはそんな現実的な幸せ像を提示せず、キラキラ女子的な威勢のいい記事を書き飛ばしてたわけだ。「年下イケメンとの恋愛は全然あり。30代はオバさんではありません」的な。

 そんな記事を書くなとは言わないし、別に書けばいいのではないか。

 だけど現実的な幸せ、「顔は捨てるけれど、それなり高収入の男性とセックスレスにならない夫婦生活という幸福」を提案することはしなかったのである。

 時代を先読みして新しい恋愛像や幸福像をブチあげるのが、女性ライターの仕事のはずだが、それをしない。

 本来は女性たちがそんなクソライターに噛みつくべきなのだが、そんな様子もない。

 最近、日本女性は幸せになる気がないし、女性クリエイターたちも女性を幸せにする気がないのではないかと思うようになった。現実逃避できる景気のいい夢があればよくて、なんとなく問題を先送りできてれば、それでよしてしてるような。

 日本女性全体が、日本女性を馬鹿にしてるような気がしてイラっとするが、ムカついてる私は40代のオッサンなのである。いや、女性が怒るべきだと思うんだが、そうはならないし、この文章を読んだ女性も、正直、共感してくれないだろう。

 イイネ!

 されることはないのだ。

 本当のこと書いて黙殺されるのも納得いかないのだが、それが現実なんだからしかたないよなあ……と、モヤモヤしながら筆を置く。