落合信彦が好きで何が悪い?(2)

 


 上記の動画をまずは見て欲しい。

 カッコよすぎる!

 広島の田舎にいる高校生の私にとって、万事がこの調子の落合信彦はカッコよすぎてしまった。圧倒的な魅力に抵抗できるはずもなく、好きになるしかなかったのである。

 当時、週刊プレイボーイ編集者だった小峰孝雄が、自身のラジオ番組であるオールナイトニッポン水曜日で、このCMをカッコいいと語っていたのを記憶している。ある種の男性にとって、この気分は共有されていた。

 読書と雑誌が好きなテレビっ子というのだろうか?

 サピオ、スコラ、ゴロー、週刊プレイボーイ……なんてのが、落合信彦をよく見た痛いである。小学館集英社に強いジャーナリストというイメージだ。ホットドッグプレスに登場してはいなかったが、ビールの広告はよく掲載されてたと記憶している。

 サピオと週プレ以外は廃刊になってしまったのはさびしいが、サピオ以外はエロ記事が充実した媒体ばかりである。蓮舫のグラビアに股間を膨らませた後の賢者タイムは、落合信彦の国際記事を熟読して国際社会について妄想を膨らませるのが、ある種の男の子にとっての定番の時間の過ごし方だったろう。

 当時の若い男の子は、右肩上がりの平和すぎる日本は、ぬるま湯すぎてうんざりだったのである。激動する国際社会、アメリカだのイスラエルだのが、熱い感じがして魅力的に見えたのだ。

 もちろんテレビや新聞も国際情勢を伝えてはいた。

 しかしそれらは退屈な事実を伝えていたにすぎない。激動する国際政治の魅力は、伝えていなかったのである。国際政治の激動の「魅力」を伝えていたのは、落合ノビーだけだったのだ。

 後に噂の真相だの、鹿砦社の暴露本だの、町山智浩の取材だの、インターネットだので色々と暴露されてゆく。しかし、読者にとってはどうでもよかった。細かい事実よりも、デカくて熱い魅力が全てだったのである。