HIGH & LOW THE MOVIE (2)

 ●ホモっぽくない、ノンケ男性の魅力が爆発

 本作を見ていて、不思議な気分になった。でも、それが何かわからず首をかしげた。鑑賞し終わってからしばらくして、そういえば裸になる男がいなかったことに気づいたのである。

 正確にはいたのかもしれないが、印象に残っていない。

 EXILE事務所は腹筋6個割れが義務づけられているそうな。それだけ鍛えた美しい肉体ならば、観客に見せてやるのがサービスなはずだ。女性も喜ぶだろうし。

 そんな企画意図で男たちが脱ぎ始めると、どうしてもホモっぽくなってしまうのだ。80年代から90年代のバトル漫画というのは、モロにそんな感じだった。北斗の拳ジョジョの奇妙な冒険グラップラー刃牙聖闘士星矢などがそうだが、登場人物がみんなホモっぽいのである。

 男の肉体は美しいという価値観で、男たちを描いてしまうと、どうしてもホモっぽくなってしまうのだ。腐女子たちも購買層としてあなどれないので、意図的にそんなシーンを入れたりもする。

 すると、登場人物がどんどんホモっぽくなってゆくのである。

 ところが本作で追及されるのは、男の肉体の美しさではなく、ファッションセンスや着こなし。半裸にならず、着衣で戦う。腐女子が好きそうな、ホモっぽいシーンもない。EXILE事務所の体質もあるのだろうが、ゲイ男性に見える男がいないのである。

 みんなノンケなのだ。

 ヘテロ男性の色気って、いいもんだなあ。

 妙に新鮮な気分になってしまったのである。確かに普通は友人にホモはおらず、ノンケ男性だけで過ごすのが基本だ。だからホモっぽい感じがあると、本来はリアル感はないのである。男どうしの関係性は、腐女子が喜ぶようなベタベタしたものではないのだ。

 そういった意味で、本作はホモでないノンケ男性の魅力を、清潔感とともに描いた映画と言えるだろう。

 好印象である。