ヤングアダルト
●シャーリーズ・セロンの演技はいい
シャーリーズ・セロンの演技はいい。本人のいい女イメージを完全破壊するダメ女子ぶりに、そこまでしなくても……な印象。とあるシーンでヌードになるのだが、半裸の女性にヌーブラ姿で、オナニー猿男性ですらどんびきする状況だ。
「盛られた美女の等身大」や「上げ底女子の等身大」という複雑な概念を、一瞬で表現する名シーンだ。しかしセロンのいい女イメージは完全にダウンするわけで、CM仕事は減りそうだと感じた。
●シナリオは要再考では?
シナリオは練り直す必要があったのでは? 物語終盤で、セロンがご執心の男性の子供を堕胎したという過去が明らかになるのだが、この過去は掘り下げるべきだったような?
男性が都会的ないい女のセロンではなく、地元の地味女子を妻に選んだ理由があるはずなのだ。同時にセロンが堕胎までして、大都市を目指した理由もあるはず。
そこを掘り下げるべきではないかと感じた。
セロンが妊娠したのが高校時代なら堕胎するしかなかったと思うが、高校卒業した後なら出産もアリだったろう。あるいは堕胎したって、その後で結婚すればいいわけだし。
●アキバ系男とのセックスは、一歩踏み込んだと感じた
アラサーアラフォー女子の自分探し映画で、女子の共感さえあればイイネ!はそこそこついてしまう。しかしそれ以上のものは何も無いといえば、無いのだ。
岡崎京子の一連のマンガはそうだし、未読だがタラレバ娘もそうではないか。
この手の映画やドラマでよくある役で、「主人公女性のよき理解者であるゲイ男性」というのがある。ゲイだから女性への性欲がなく安全、しかもお洒落な自分を演出……という役回りに、私は差別的なものを感じてイラっとする。
女性は「去勢されたオス」を好む傾向があるのだ。
ホモと思われてたが、実はノンケのアキバ系デブが登場した時に、私はひっかかった。彼はこの手のドラマによくある去勢されたオスではないのだ。
映画終盤で彼とセックスするが、女性の自分探し映画でこの手の展開はない。新しく一歩ふみこんで、よくあるひな形を壊したと感じた。
賞賛したいとこである。
しかし、一歩踏み込んだものの、それどまりで残念だ。