秘密(3)
●セックスしようと言えないヒロイン
趣味は悪いが、映画やTVドラマで、女性がセックスに誘うセリフに注目する癖がある。本作での広末涼子のセリフを引用してみよう。
「私が顔かくせば(セックスが)できるんじゃない?」「じゃあ口でしてあげようか?」「アレ、しようか?」「わかってると思うけど、優しくして」「(避妊しなくても)大丈夫だと思う。今日は」
アイドルらしからぬ、踏み込んだ過激発言。演技派女優に開眼……と言いたいところだが、よく注目して欲しい。
セックス、フェラチオ、避妊、コンドームといった、固有名詞は一切つかっていないのである。
一流女性芸能人は、ドラマや映画の中でこれらの固有名詞を発言することは私の知る限りない。バラエティではまた違うのかもしれないが……。
別の例をあげると、「逃げるは恥だが役にたつ」の新垣由衣も、確か「そうゆうことしてもいいですよ」としか発言していなかった。彼女たちはあくまでセックスには誘っていないのである。
「アレ」や「そうゆうこと」に誘っただけなのである。
アレやそうゆうことが何かはわからない。ただセックス以外の何かに誘っているのである。
そんなバカな!?
……とお怒りになるのは、よくわかる。私もそう思う。しかし日本女性のほとんど全てがそうであるように、女性芸能人も言質を取られるのを嫌うものなのだ。
もしかしてTVドラマではなく、映画なら発言できるのではないかと思ったが、予想に反してそうではなかった。
TVドラマで一流女性芸能人が、セックスやエッチという言葉を使って誘った場合、時代が変わる。
エポックメーキングなことなので、注目したい。
例外的なのが東京ラブストーリーの鈴木保奈美。「カンチ、セックスしよ」は日本ドラマ史上に残る永遠の名ゼリフ。90年代のことである。
20年以上も前のことですかね。
バブル期の狂騒、帰国子女で日本人的ではないというキャラ設定という特殊条件が重なってのことだった。
あくまで例外中の例外である。
もしドラマや映画の中で、セックスやエッチという言葉を使って誘っている一流女性芸能人がいたら、教えていただきたい。