元グラドルの河下理恵が純文学に挑戦

 グラドルの河下理恵が引退し、純文学を目指すときいて驚いた。

 普通だったらグラドルをウリに、どうでもいいエッセイや自伝を書きとばし、それでつかんだコネで編集と仲良くなり、小説モドキを執筆して作家ヅラするのが定番だからだ。

 主人公を自分にして、物語はゼロだがオチだけつける。そんな短編を5つくらいまとめて単行本を出版。主人公も物語も創れてないのに、とりあえず小説っぽい体裁は整うので作家ぶることはできてしまう。

 そんで日本ペンクラブに入会したりしてな。

 ペンクラブでつくった人脈で、何かをしかけようというわけだ。いい小説を書くことよりも、人脈づくりの方にご熱心な女性の書き手は多い。その中の一人になることを、河下理恵が望まなかったのは、偉いもんだなあ……と関心させられた。

 原稿の持ち込みではなく、新人賞に投稿しようってんだから、志が高いやね。

 梗概や経歴にはグラドルと明記して投稿するのだろうが、それくらいは別にいいんでないかな。不正をしてるわけじゃないし。その程度は全然セーフだと思う。

 純文学を目指すというのも、頭がいいと思った。

 なんだかんだいって、主人公を自分にしないと彼女は小説は書けないだろう。長編は無理だから、短編にならざるをえない。物語をつくれそうにないから、エンタメ系の小説新人賞に応募しても「事件がおきない」とバッサリ切り捨てられてしまう。

 だったら最初から純文学を目指すのは正解なのだ。

 芥川賞を獲れるかどうかは、正直わからん。だけど芥川賞候補の可能性は、充分にあると思う。候補になった初回で獲るよりも、むしろ2回くらい落ちて、三度めの正直で受賞するくらいが盛り上がると思うし。

 それくらいの高い志をもって欲しい。

 グラドルとしての河下理恵は好きだったけど、志の高い純文学作家としての彼女も応援したくなった。