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中国人は平和ボケしていない(1)

 中国遼寧省出身の中国人は、自分の出身地を言った後で、大抵こうつけくわえる。「北朝鮮のとなりです」と。

 遼寧省と言われても日本人はピンとこないが、北朝鮮の隣と説明されると、ボンヤリとわかるよな。「あのへんかあ」みたいな感じで。日本人に地元を紹介する時に、北朝鮮と説明するのが習慣になってしまっているのだろう。

 国境が隣接してるから、遼寧省出身の中国人にとって北朝鮮問題は深刻だ。知り合いの中国人は、「トランプと習近平が会ってビッグディール(デカい取引)が成立したから、戦争になる」と言っていた。

 彼の叔父は中国共産党公安部の大物だ。

 そんな彼の言うことだから、妙な説得力がある。でもそんな彼も戦争だなんてデカいことが起きたら自分にできることは何もないので、北朝鮮ニュースを熱心にチェックするだけだと笑った。

 確かに一般国民にできることなんて、そんなもんだよなあ……。

 彼が中国遼寧省にいたころ、暇な時にやる趣味は「スナイパーウォッチング」だったそうだ。双眼鏡を持って中国と北朝鮮の国境に行き、草原を眺めるのである。

 風も吹いてないのに、揺れてる草があると双眼鏡をのぞく。するとそこに狙撃手が隠れているのである。狙撃用の銃身の長いライフルを構えている様子が、見えるそうだ。

 北朝鮮から逃げ出して、中国国境に侵入しようとする脱北者を、銃身の長い狙撃用ライフルで射殺するのが彼らの任務である。

 バードウォッチングよりも、スナイパーウォッチングの方がエキサイティングですからねと、中国人の彼は悪い冗談を言う。狙撃した瞬間を見たのかと質問すると、無いと答えた。

 脱北するのは河の水面が凍り、歩いて渡ることができる冬が多いのだそうだ。冬の遼寧省は寒すぎるので、狙撃観察する気になれないらしい。家にひきこもって日本製ゲームとAVを楽しむ。

 狙撃した瞬間は見たことないが、誰かが銃殺されたことはわかる。釣りをしに河に行くと、なんともいえない嫌なくさい匂いがする。それが死体が腐るサインだ。

 生ごみの回収のバイトもしてた彼はいろんな腐敗臭を嗅いできたが、人間の死体が最高に嫌なそうだ。妙に甘く、熟しすぎた林檎のような匂い。それがまた余計に不快なのである。

 興味深いので、彼の話を掘り下げることにした。

 皆さんも知りたいでしょ?

 (続く)