こちら葛飾区亀有公園前派出所

 近所のラーメン屋に「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の単行本が置いてある。最終巻となった200巻もだ。

 手に取ると記憶の単行本よりも分厚い。ページ数が増えている。読者をより満足させようと、ボリューム感をアップさせたのだ。

 同時にそうでもしないと、もはや読者に買ってもらえなくなっていたのかもしれないなあ……と察してしまう。連載開始から40年くらい過ぎている。人間は飽きるという感情から、逃げることはできない。こち亀も例外ではなかったのだ。

 しかし、

 

 飽きられたくない。

 現役でいたい。

 常に新しくありたい。

 

 ……と最大限の努力をした作品がこち亀であった。作品そのものは古くなってゆくが、扱うネタはアキバ文化だのドローンだのと、最も新しいものばかりを扱った。ジャンプ読者も変化し、女性が増えた。最近は低年齢化も進んだそうで、190巻以降をちらちらとめくった限りでは、小学生にしか見えない女性警官や、小学生キャラクターなどが頻繁に登場する。

 そんな中で中年男性への配慮も忘れず、ゴルゴや本田だの、ラジコン刑事(こんなのいたっけ?)だの、懐かしのキャラクターも登場するのだ。ラジコン刑事なんて、ドローンとの対比のために登場しているようだし。

 現役欲の強いマンガ家だなあ、と畏敬の念をもたざるをえない。

 こち亀の連載は終了し、ジャンプ系列の4媒体に新作が掲載された。週刊少年ジャンプには掲載されないので、残念ながら「ジャンプに秋元治は必要ない」という判断なのだろう。

 そのかわり秋元治を必要とするマンガ雑誌、秋元治の新作と一緒に大きくなれる媒体は何なのか、貪欲にさぐってゆく気配も感じられる。これほど短期間に、新連載のチャンスを4回ももらえるマンガ家は、秋元治が最初で最後ではないか。

 一方、某長寿がウリのギャグマンガ家はどうかと思う。

 資料を見ないで作画するのが有名で、本人もそれを誇りにしていた。しかし資料を見ない創作態度は、新しいネタや情報を投入しない怠惰な姿勢につながってもいた。

 ギャグは詰め込まれているが、どれも古くて退屈だ。作品がシュールとすら評された。

 アンチエイジングをやらなさすぎなんだよ。

 最近になって再注目されたが、それは新作ではなく過去作品。そのマンガ家がまだ若く、感覚が新しかった頃のモノなのだ。当時は確かアラフォーくらいの年齢だったはず。

 過去作品ではなく、新作での再評価を期待したい。