桝野幸一が感じ悪すぎる件(3)

 文章が上手すぎる……。

 桝野幸一の離婚小説を読んで、しみじみと思った。文章は間違いなく上手い。行間に何かがあるタイプなのである。よくまとまっている。

 しかし同時に思った。

 ヤマなし、オチなし、意味なし、の小説しか書けんのだなと。

 起承転結がないんですよ。

 起承転結すら桝野幸一はつくれないんですよ。

 ストーリーテラーとしてはゼロなんですよ。

 物語づくりもできないくせして、南Q太に偉そうに意見してたら、捨てられて当然だろ。

 愚直に勉強せず、小賢しく逃げる。

 桝野幸一の基本的な人格が作動してしまったわけですね。

 彼は小説の勉強(ストーリーづくり)を全く勉強していない。今からでも遅くないから、映画シナリオの勉強すべきなんでないかな。とりあえずシド・フィールドの本あたりから。

 彼の離婚小説を読んだが、短編を集めたオムニバス形式だ。長編を書くのは桝野幸一には無理だったから(起承転結がつくれないので)、短編に逃げたのである。で、短編内に起承転結はあるかといえば、ない。そして彼が何に逃げたかというと、「オチらしきものをつける」ということ。

 短編ごとに結末はボンヤリとあり、なんとなくまとまってる。読後感は良いのだ。しかし短編の始まりと終わりで、主人公は何も変化しない。当たり前だよな。だって起承転結がつけられないのだから。

 短編オムニバスの第一話と最終話でも、主人公は何も変化しない。

 なんてゆうか……、物語もつくれないのに小説を出すのもナメた話だが、短編ならばボロが出ないし、文章は上手いから数ページは退屈させないで読ませられるので、なんとなく数ページごとに場面転換して、最後にオチらしきものをつける……なんて方向性に逃げたのは最悪ですよね。

 いわゆる小説家ワナビーで「完成させられない人」というのは大勢いる。

 彼らは「物語がつくれない自分」から逃げなかったから、完成させられないのですよ。愚直に挫折したわけです。

 しかし桝野幸一は小賢しい性格なので、「文章上手けりゃ数ページは退屈させないから、何回か場面転換させてオチつけときゃOK!」なんて逃げ道を発見してしまい、「小説を完成させられないマヌケな自分」と向き合うことから逃げてしまいました。

 もうね、小説家ワナビーですらないダメ人間ですよ。

 挫折することすら、逃げてしまうのだから。

 多くの挫折者はそれから逃げないのに、桝野幸一は逃げる。

 最悪なものを見せられてしまったなあ……、この人はずっとこの調子なんだろうなあ……と、しみじみしながら、ブックオフに叩き売りました。

 ちなみに小説の勉強したけりゃ、映画シナリオの本を読めという私の主張はマヌケで奇異に思われるかもしれない。

 しかし高名な直木賞作家でも映画シナリオの勉強はしているのだよ。名前は出せないがデビュー作の分析をしてて、ミッドポイントに公園のシーンが出てくるのだ。物語上、必要のないシーンなのにね。

 必要ないから削るべきなんだが、それでも削らなかったのは、ここがミッドポイントと作者が判断してるのだと私は解釈した。あの作家さん、間違いなく映画シナリオの勉強をしている。

 他にも有名作家で映画シナリオと同じ構成にしてる作家は何人もいるので(てゆうか、ほとんど全てだと思う)、物語のつくり方がわかんないとか、完成させられないと悩んでる人は、シド・フィールドの本を読めばいいよ。理論だけはわかるから。

 サブカル系のライターさんが、たまに小説らしきものを書く時がある。

 小説家ではないがライターだから、完成はさせられる。文章が上手いから退屈もさせられない。だけど退屈しない文章が、数ページごとに切り替わるだけなのである。お上手にオチだけつけられているから、読後感はボンヤリといい。

 小説家になりたいけど、完成させられない……なんて、マヌケな連中よりはマシに見える。でも、「完成させられない!」という挫折から逃げてるだけなんですよ。

 桝野幸一が感じ悪すぎてイラっとしたけど、彼のことなんてどうでもよくて、本当に言及したかったのはココだ。

 マスノみたいに上手に逃げるのではなく、愚直に勉強しようよってこと。

 

 * 追伸 *

 桝野幸一は離婚本を3冊も書いたと豪語しており、残り2冊も読んでないくせに批判するなとかいう言い訳に逃げていた。

 アホか?

 最初の1冊が面白いと感じていれば、残り2冊も私は読んだ。

 しかし1冊めで「ダメだこりゃ」と判断したから、買うのを止めたのだ。リピーター読者の獲得に失敗した自分を恥じるべきなのに、「残り2冊の存在も知らない」と逆ギレして威張り始める人間性が最悪である。

 小賢しい言い訳はお上手な人物で、そうゆう細かいことだけ打算して鍛えた頭脳で、美文を書いてらっしゃるのでしょう。うらやましいです。